これまで、ベトナムの工場から日本の港までコンテナで商品を輸送する際の費用についてであったり、航空便または船便のどちらの方法で輸送すべきかの判断方法について情報を共有させて頂きました。今回は、コンテナに満たない物量を輸送する際の費用についてまとめたいと思います。
〇 LCLやFCLとは
コンテナに満たない物量をLCL(Less than Container Load)といいます。お客様がベトナムから輸入したい商品が必ずしもコンテナ単位の物量であるFCL(Full Container Load)になるとは限らず、むしろLCLでのお引き合いの方が多く頂戴しております。
〇 m3とは
例えば一番大きなコンテナのサイズである40フィートハイキューブコンテナ(略して40ftHC)には、最大75m3が入ると言われています。このm3とは、1m x 1m x 1mの立方体という意味ですので40ftHCの中には1m x 1m x 1mの立方体が最大 75個も入る、という意味になります。しかし実際は、積み込みの際に隙間ができたりするので、75m3も積むことは不可能で、現実的には65~70m3が最大積載量となります。なお、20ftコンテナの場合は、25m3前後が現実的な最大積載量の目安となります。
〇 m3の計算方法
ベトナムから輸入したい自社の荷物の物量を計算する方法ですが、例えば 50cm x 50 cm x 50cmのダンボール箱に100枚のエコバッグを入れ、合計1,000枚(10箱)を輸入すると仮定します。この場合のm3の計算方法は 0.5m x 0.5m x 0.5m x 10箱 = 1.25m3となります。
〇 LCLで運ぶ基準
20ftコンテナであれば一度に最大25m3も運ぶことができるのに、ベトナムから輸送したい自社の荷物が1~12m3しかない場合、20ftコンテナを予約して輸送するとコンテナの中がスカスカの状態となり損をしてしまいます。そこで、他社の貨物と一緒にコンテナに積むことで輸送費を削減する方法がLCLとなります。ベトナム~日本間の場合、12m3未満の場合はLCL貨物として輸送する方がお安くなります。逆に自社で12m3以上の物量をまとめることができる場合は20ftコンテナのFCLで輸送する方がお安くなります。
〇 LCLで運ぶ際に掛かるベトナム側の概算費用
ベトナムにある工場から日本の港に到着するまでに、大きく分けると下記の3つの費用が必要となります。
① 工場からベトナム国内の港への運送費
② コンテナに荷物を積み込んでもらう費用や輸出通関、コンテナ船への船積み費
③ 日本の港への海上運賃
①の運送費は工場の所在地(走行距離)によって変わるので一概には言えませんが、US$150~300程度となります。
②で必要な明細と概算費用は下記の通りです;
CFS US$9.00 / m3 + VAT 10%***
Container Freight Stationの略で、貨物量がコンテナ1本単位に満たない複数の荷主の小口貨物を混載する施設の使用料。
THC US$6.00 / m3 + VAT 10%
ベトナムの港を使用する費用。
EBS US$5.00 / m3 + VAT 10%
Emergency Bunker Surchargeの略で、緊急燃料割増料金。原油価格の高騰に伴い、船舶燃料費(重油)の高騰に対する措置として導入された割増料金。
AFR US$15.00 / m3 + VAT 10%
Advanced Filing Ruleの略で、 出港前報告制度。 テロ対策等の国際的な物流セキュリティ強化に充てられる費用。
RR US$20.00 / m3 + VAT 10%
Rate Restorationの略で、運賃レートを市場にあわせて調整すること。
***VAT 10%とは、ベトナムの付加価値税で日本の消費税のような制度です。
③の海上運賃は船会社によって様々ですが、ベトナム~日本の場合はUS$20~50 / m3となります。
例えば先程の1.25m3をベトナムから日本へ輸出する場合、ベトナム側で必要な輸出費用は、①でUS$150~US$300、②でUS$76、③でUS$25~US$62.5の合計でUS$251~US$440ほどが必要となります。
そして日本に貨物が到着した後は、日本側で輸入通関費や取扱手数料、お客様の指定倉庫への配送料などが掛かります。この日本側で掛かる費用については別のブログにまとめたいと思います。
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