大変ありがたいことに、ぬいぐるみのご注文が増えています。中国製の値上がりや、仕入国分散によるリスク管理が主な理由のようです。
ベトナムで調達できる生地も増えつつあり、人件費や諸経費が中国より安いことから、ベトナムの競争力のある価格帯も喜ばれています。ここではベトナムで生産されるぬいぐるみの特徴についてまとめます。
とある工場の展示品です。
① 価格
弊社にお問合せを下さる方々からのご質問で一番多いのがベトナム製の価格帯についてです。使用する生地や生産数量によって価格は上下しますが、中国製よりも競争力のある価格で生産できる工場もあれば、中国製よりは高くても高品質を売りにしている工場など様々です。
弊社の本社があるベトナム南部、ホーチミン市の周辺には10数社のぬいぐるみ工場があります。その10数社に訪問し見積りを依頼したところ、特に下記の条件が価格に影響を与えることが分かりました。
〇 工場の所在地
ホーチミン市の中心部に近い工場ほど価格はやや高めの傾向があります。工場の家賃や人件費がホーチミン市郊外よりも高いためです。それでも、社員寮を用意して地方やカンボジアから人材を募りコスト削減に注力している中心部の工場もあります。
一方で、クチやホクモン、ドンナイ、ロンアンと呼ばれる地域など、ホーチミン市の中心から車で1~2時間ほど離れたところにある工場は価格競争力が高く、中には家賃の掛からない自社の所有地で生産している工場もあります。作業員の人件費は中心部であれば8,000,000vnd/月から、ホーチミン市郊外であれば6,000,000vnd/月からとなります。
〇 生地の調達
・ベトナム国内の生地輸入業者から購入する
・中国から生地を自社で輸入する
・ベトナム製の生地を購入する
主にこのような生地の調達方法があります。ベトナム製の生地を使用する場合、生地のバリエーションが少ないというデメリットはありますが、生地のコストは中国から輸入するよりも下がります。
生地の在庫保管イメージ。
〇 生産ロット/注文数量
弊社が受注している注文数量は、数十個の小ロットから、多いもので数万個と様々ですが、一般的に中国に比べてベトナムでは最低注文数量(MOQ)が少なくても対応可能な場合が多く、特に柔軟な生産体制が強みとなっています。また、ベトナム国内で広く流通している生地や、現地で生産されている生地を使用することで、追加の生地調達コストや大量発注の必要がなくなり、MOQをさらに引き下げることができます。
〇 縫製の委託
縫製を自社で行なわず内職に歩合で任せることで人件費を抑えている工場もあります。コストを削減できる一方、工場に縫製のノウハウが蓄積できないであったり、縫製の質に少しバラつきがみられる、というデメリットもあります。
検品現場、糸切も行います。
これらをまとめると、ホーチミン市郊外の工場で / ベトナム製生地を使用し / 縫製を内職に委託している工場が、基本的には最も競争力のある価格を出せる工場となります。
定番のクマさん。
② 品質
ベトナム人は手先が器用といわれているだけあって、ホーチミン市近郊の10数社では品質が大きく劣るような工場は見受けられません。MINISO等の量販店向けOEMを行なっている工場や、日本やヨーロッパ、アメリカ(CPSIA, ASTM F963, Proposition 65の規格に対応)向けに輸出経験のある工場は、より安心して生産を任せることができます。
ディズニーやユニバーサル等の監査を受けている工場もあり、一部の工場では孫請けとして版権物を生産している工場もあります。ただ、一般的には大手の監査をクリアしている工場は規模が大きいこともあり、最低注文数量は数万個からとなります。
③ サイズと生産
弊社がよくご注文を頂くぬいぐるみのサイズは140cm, 120cm, 60cm, 40cm, 25cm, 10cmで、一般的にはサイズが小さくなるにつれて縫製の難易度も上がります。工場もサイズによって得手不得手がありますので、サイズに応じて最適な工場をご提案しています。
基本の生産ロットは300~1,000個 / 1アイテムと言われておりますが、価格は少しお高くなるものの数十個からの生産が可能なぬいぐるみ工場もあります。納期はサンプル製作に2週間、40フィートハイキューブコンテナ1本分であればご注文後約1~1.5か月となります。
お客様がオリジナルのぬいぐるみを製作されたい場合、三面図(ぬいぐるみの設計や製作の際に使われる正面・側面・背面の3つの視点から描いた設計図のことです。これにより、ぬいぐるみの形状やバランスを正確に把握し、パターン作成や試作の精度を高めることができます。)があればサンプル製作に取り掛かりやすく、三面図をお持ちでなくても、デザイナーが常駐している工場がほとんどなので、製作したいイメージ写真やイラストを頂ければ形にすることができます。
ダイカット加工と昇華転写印刷で作るクッションです。詳しくはこちら。
④ 梱包方法
ぬいぐるみをそのまま輸出すると、かさが張ってしまい輸送費が高くなります。そこで、お客様からのご要望に応じて、ぬいぐるみをビニールに入れ真空圧縮を行ない、コンテナへの積載数量を増やす方法も可能です。
写真は60cmのぬいぐるみを真空圧縮した比較写真。全体的に小さくなり、厚みは1/4程度に。
例えば、高さ60cm、重さ270gのぬいぐるみを真空圧縮した場合、40フィートハイキューブコンテナには約8,000~9,000個のぬいぐるみを積むことができますが、圧縮しない場合は2,000個程度まで積載数量が少なくなります。積載数量が少ないということは、ぬいぐるみ1個に対して貿易に掛かる諸経費も増えることになります。
仮にベトナムから日本への貿易に掛かる諸経費が20万円とすると、8,000個入る場合は1個25円、2,000個しか入らない場合は1個100円と、ぬいぐるみ1つのコストに75円の差が生じます。従いまして、ぬいぐるみのような重量が軽いわりにカサの張る商品は、輸送費を無駄にしないためにもコンテナの中に出来るだけ多く積み込むというのが原則になります。
圧縮機でぬいぐるみを潰します。真空やバキュームとも言います。
サンプル製作から出荷までの流れ
ここまで、価格・品質・サイズ、生産・梱包について整理しました。次に、実際のご注文を例に、サンプル作成から出荷までの流れを詳しくご説明します。
基本的な流れ
① 三面図のご提出
② サンプルの製作
③ サンプルの修正・量産承認用サンプルのご提出
④ 校了後の生産開始、納期・品質管理
⑤ 検品・梱包
⑥ バンニング・出荷
それぞれの工程について、詳細を以下の通りまとめます。
① 三面図のご提出
まず、ぬいぐるみの設計図となる三面図(正面・側面・背面)をデータでご提出いただきます。データ形式は、Illustrator(.ai)またはPDF(.pdf)が推奨です。三面図のご準備が難しい場合は、お客様のイメージをヒアリングし、弊社にてスケッチを作成することも可能です。
お客様のイメージをお聞きし弊社で作成したイカの設計図(ラフスケッチ)
マグロの設計図(ラフスケッチ)
設計図の承認後、カラー指定、色入れ。
マグロの色入れ。
② サンプルの製作
三面図をもとに、お客様確認用と工場保管用のサンプルを作成します。サンプル完成までの目安は約2週間です。完成後、お写真にて確認いただくか、実際のサンプルをお送りいたします。
③ サンプルの修正、量産承認用サンプルのご提出
サンプルに修正が必要な場合、お客様のご指示を反映したセカンドサンプルを作成します。
- 修正が軽微な場合:1週間程度で作成可能
- 修正が大きい場合:改めて期間をご相談
修正後のセカンドサンプルをご確認いただき、最終承認をいただいた時点で「校了」となります。このサンプルを量産承認用サンプルとして、工場でも保管します。
④ 校了後の生産開始、納期・品質管理
校了後、生産を開始します。
- 通常の生産リードタイム
- シンプルな仕様:1~2カ月程度
- 複雑な仕様・大量注文:個別にご相談
- シンプルな仕様:1~2カ月程度
生産中は、弊社が工場と連携し、納期・品質管理を行います。
- 納期管理:希望納期に間に合うよう進行
- 品質管理:生産中の不備チェック
⑤ 検品、梱包
生産完了後、以下の工程で検品・梱包を行います。
検品工程
- 外観の確認
- 糸の切り忘れチェック
- 検針機で折れた針や異物混入の有無を確認
梱包工程
- カートン梱包
- サイズの大きなぬいぐるみは圧縮し検針機へ
- PPバンドで補強し、強度を向上
- カートン入数を重量計で最終確認
サイズの大きなぬいぐるみは圧縮して検針機に通します。
針の管理台帳を作成することで折れ針の混入を防ぎます。
カートンが途中で開かないよう、PPバンドでさらに強度を上げます。
⑥ バンニング・出荷
梱包が終わった商品はトラックに積み込み出荷となります。
工場横にトラックを付けます。
コンテナの内寸に合う最適なカートンサイズをご提案いたします。
バンニング完了です。その後トラックは港に走り、船積みとなります。
まとめ
今回はベトナム製のぬいぐるみについて、価格 / 品質 / 生産 / 梱包 の観点からお話させていただきました。
弊社ではホーチミン市近郊の複数社の工場と業務提携を行なっており、お客様のご要望に応じて適切な工場をご紹介しております。ぬいぐるみの輸入にご興味がございましたら、お気軽に [email protected] へご連絡ください。商品のイメージまたはイラスト、サイズ、数量、希望購入価格の情報を頂けましたら、速やかにお見積もりをご連絡いたします。
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