ホルムズ海峡リスクと原油価格高騰 ホルムズ海峡リスクと原油価格高騰 ベトナムの影響

ホルムズ海峡リスクと原油価格高騰 ホルムズ海峡リスクと原油価格高騰 ベトナムの影響

2026228日、米国および同盟国によるイランへの攻撃が開始されました。この出来事を契機に中東情勢は一気に緊迫化し、ホルムズ海峡の封鎖リスクが現実味を帯びる中、原油価格は大きく上昇しています。今回の原油高の特徴は、単純に供給が止まったからではなく、「止まるかもしれない」という不安が市場に織り込まれている点にあります。ホルムズ海峡は世界のエネルギー輸送の要衝であり、ここにリスクが生じるだけで、実際の供給量以上に価格が動く構造になっています。今回の価格上昇は、実需と心理の両方によって押し上げられている状況です。


ベトナムの石油備蓄は20日?
日本は200日以上の石油備蓄を持つ一方で、ベトナムは20日程度とされており、数字だけを見ればベトナムの方がはるかに脆弱に見えます。しかし現時点ではベトナムにおいて深刻な燃料不足は発生していません。その背景には、供給構造の違いがあります。ベトナムは中東依存一本ではなく、韓国やシンガポール、マレーシアなど複数の国から石油製品を調達しており、供給ルートが分散されています。また国内にも製油所を有しているため、一定量は国内でカバー可能です。さらに政府が価格や流通に関与していることもあり、急激な需給崩壊が起きにくい構造となっています。このように、備蓄日数の少なさはそのままリスクの大きさを意味するわけではなく、調達と制度によって何とかバランスをとっている状態です。

商社の現場で起きている問題
今回の局面で現場が直面している問題は、「モノがない」ことではなく、「価格と条件が決まらない」ことにあります。実際に工場から見積りが出てこない、出てきても有効期限が1週間程度と極端に短い、さらに再見積りのたびに価格が上昇する、といった事象が頻発しています。この背景にはナフサ価格の急騰があります。ナフサはポリエチレンやポリプロピレンなどの基礎原料であり、ここが不安定になることで、あらゆる製品のコスト構造が崩れます。その結果、工場側も長期的な価格提示ができず、リスク回避のために短期・高価格の条件を提示せざるを得なくなっています。商社としては、従来のように価格交渉で勝負するというよりも、条件調整や供給確保そのものが主戦場に変わりつつあります。

日本では不足が起きているが、ベトナムの状況は?
日本ではニトリル手袋やガムテープなどの不足が始まっている一方で、ベトナムではまだ供給が維持されているケースが多く見られます。この違いは調達力の差というよりも、構造的な違いに起因しています。日本はジャストインタイムの思想が徹底されており、在庫を極限まで削減しています。そのため、供給がわずかに滞るだけで即座に欠品に繋がります。また品質基準が厳格であるため、代替品を簡単に導入できないという制約もあります。さらに既存のサプライヤーとの契約や承認プロセスが存在し、新規調達への切り替えには時間がかかります。

一方でベトナムは、一定の在庫を持ちながら、中国やASEAN域内など複数のルートから柔軟に調達を行う傾向があります。製品仕様についても用途に応じて調整が可能なケースが多く、短期的な供給ショックを吸収しやすい構造となっています。この差が、日本では不足が顕在化しやすく、ベトナムではまだ供給が維持されている理由です。

日本で不足が発生しているにもかかわらず、速やかに輸入で補えない理由も複合的です。今回の問題は世界的な供給制約であり、日本だけが調達を増やせば解決する状況ではありません。そもそもの市場に出回る量自体も限られています。加えて、仮に調達できたとしても物流の問題が立ちはだかります。航路変更や船腹不足により輸送に時間がかかり、すぐに国内へ供給できるとは限りません。さらに、日本市場特有の品質基準や契約構造も大きな制約となります。海外で入手可能な製品であっても、日本の規格や用途に適合しなければ使用できず、また既存サプライヤーからの切り替えには社内手続きが必要となります。

このように、「買える」「運べる」「使える」という条件が同時に揃わない限り、輸入は実務的に成立しません。今回の不足は、単なる輸入量の問題ではなく、サプライチェーン全体の制約が顕在化した結果と言えます。

今後のリスクとフェーズの変化
現時点では、価格上昇と条件悪化が主な問題であり、ベトナムに至っては供給そのものはまだ維持されています。しかし今後、ホルムズ海峡の状況がさらに悪化し、供給に実質的な制約が生じた場合、状況は大きく変わります。その場合、これまでのような「価格が高い」という問題ではなく、「そもそも調達できない」という段階へ移行する可能性があります。これはビジネスにとって致命的な変化であり、生産計画そのものに影響を及ぼすことになります。

まとめ
今回の原油価格高騰は、単なるコスト上昇ではなく、サプライチェーンの前提を揺るがす事象です。これまでのように価格を基準に最適化する時代から、供給を確保できるかどうかが最優先となる局面へと移行しつつあります。ベトナムは現時点では安定して見えますが、それは構造的にショックを吸収できている段階に過ぎません。今後の情勢次第では、そのバランスが崩れる可能性も十分にあります。今回の危機は、「いくらで買うか」ではなく、「そもそも買えるのか」という問いに直面する転換点です。この変化に対応できるかどうかが、今後の競争力を大きく左右すると考えています。

 

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