国際取引や製造業に携わる方にとって、海外へのサンプル発送は非常に重要な業務の一つです。今回は、実際に弊社が長年日本からベトナムに様々なサンプルを送ってきた経験をもとに、特に注意すべきポイントや、郵便とクーリエそれぞれの特徴についてまとめてみました。BtoB取引だけでなく、個人の方にも参考になる内容となっています。
弊社のような貿易商社では、日本のお客様から送っていただいたサンプルをもとに、お見積りを作成するケースが多々あります。アパレル、縫製品、ぬいぐるみ、樹脂成型品、金属加工品、家具など、その種類は実に多様です。特に縫製品などは、素材や部材の価格だけでなく、縫製の難易度や作業時間によってもコストが大きく変わるため、現物を見てサンプルを作成してからの見積もりがより正確になります。このように日本からベトナムへサンプル等を送る/受け取る機会の多い弊社ですが、日本からベトナムへサンプルを送る際、最もよく使われるのが日本郵便をはじめとする「郵便」と、DHLやFedEx、UPS、OCSといった「クーリエ」です。それぞれにメリット・デメリットがあるため、目的や予算に応じて使い分けることが大切です。
郵便局を利用する場合
国際eパケットライトがおすすめなケース
郵便局には様々な配送プランがあります。中でも配送スピードよりコストを重視するなら、日本郵便の『国際eパケットライト』が有力候補です。三辺の合計が90cm以内、重量2kgまでの小型荷物を、ベトナムへ750円〜3,030円という低価格で送ることができます。
メリット
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安価でありながら航空便で発送
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簡易機能ながら追跡番号あり
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商品価値の高くない小型荷物の輸送に最適
デメリット
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航空機の積載優先順位が低く、混雑時に遅延しやすい
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通関や現地処理で滞留しがち(特にベトナムは遅延傾向あり)
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到着まで7〜14日程度、繁忙期は3週間以上かかることも
その他の選択肢:国際eパケット・EMS
もう少し早く届けたい場合や物量に制限なく送りたい場合は、少し価格はお高くなりますが『国際eパケット』や『EMS』がおすすめです。これらも追跡可能で、国際eパケットライトよりは早く安全に届きます。弊社の体感では、
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国際eパケットライト:約14〜30日(通関滞留非常に多め)
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国際eパケット:約7〜14日(通関滞留やや多め)
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EMS:約5〜10日(通関滞留やや少なめ)
このような感覚を持っていますが、ベトナムでは特に通関で滞留した際には税関へ訪問し、荷物を受け取るために速やかに必要な対応をとる必要があります。また、郵便にはさらに安価な追跡番号のない国際便も存在しますが、荷物紛失時に追跡・補償が一切できないため全くおすすめできません。
郵便局の場合、比較的安価に航空便貨物として輸送はしてもらえるものの他の貨物と比べるとあらゆる箇所で後回しにされることが多いため、時間に余裕を持って利用しましょう。また、追跡機能がついているとはいえ、郵便局のウェブサイトで確認できる追跡情報は反映されるのが遅く、郵便局の窓口で配送状況を直接問い合わせしても詳しい情報を郵便局が把握しているケースはほとんどなく、仕向け先の郵便局に確認するようにとの対応になる点も注意が必要です。
クーリエを利用する場合
郵便以外の国際配送手段として注目されるのが「クーリエ」です。主に企業間取引(BtoB)や越境ECなどで利用されることが多く、スピードと信頼性の高さが魅力です。
クーリエとは?
クーリエ(Courier)とは、DHL・FedEx・UPS・OCS・ヤマト国際宅急便などの国際宅配便サービスのことです。郵便よりも迅速・確実で、特にビジネス用途に重宝されます。
クーリエのメリット
1. スピードが圧倒的に早い
通常は1〜3営業日で世界各国に配達可能です。急ぎのビジネス書類や製品サンプルに最適です。
2. 追跡機能が万全
ほぼすべての配送に追跡番号が付き、リアルタイムで状況確認が可能。安心して荷物を管理できます。
3. 通関がスムーズ
通関書類の提出代行やシステム連携により、通関処理が早く、トラブルも少なめです。
4. ドア・ツー・ドア配送
集荷から相手先への配送まで一貫対応。郵便局に持ち込む必要もなく、非常に便利です。
5. 書類から商用貨物まで幅広く対応
少量の書類や試作品、大量の商業貨物など、多様なニーズに対応できます。
クーリエのデメリット
1. 料金が高い
郵便に比べると1.5倍〜3倍以上高額になることも。重さや発送先によってコストが大きく変動します。
2. 簡単な使い方には向かない
法人向けの契約が前提の場合もあり、個人で使うには少しハードルが高いと感じるかもしれません。
3. 稀に通関で遅延することも
早いことで知られるクーリエですが、国によっては通関トラブルや課税による遅延が起こる場合もあります。
郵便とクーリエの違いとは?
国際配送といえば「郵便(日本郵便など)」を思い浮かべる方も多いですが、実はクーリエと郵便は使い勝手やサービス内容が大きく異なります。
● 配送速度の違い
クーリエは最短で1〜3営業日で配達されるのに対し、郵便(eパケットやEMS)は7〜21日程度かかることが一般的です。郵便は繁忙期や通関の混雑状況により、さらに遅れることもあります。郵便は一般的にANAやJALのスペースを借りて輸送していますが、荷物が多い場合は後回しにされます。一方で、クーリエは自社航空機を保有しており、まさに自社貨物の専門輸送です。
● 追跡サービスの有無
クーリエはすべての荷物に追跡番号が付与され、配送状況をリアルタイムで確認できます。各国にシステムがあり、仕向け国に貨物が到着してからもリアルタイムで追跡が可能です。一方、郵便はサービスによって追跡対応の有無が異なりますが、リアルタイムな追跡は期待できません。
● 通関処理の対応
クーリエは通関書類の作成や申告を代行してくれるため、通関がスムーズです。郵便は基本的に送り主や荷受人が対応する必要があります。
● 料金の違い
ほとんどの場合で郵便の方が安価です。ただし、取扱量が多い場合は、郵便よりも安いコーポレートレート(法人専用の割引料金)が設定されることもあります。
● 利便性と使いやすさ
クーリエは集荷対応や法人向けの契約制度があるため、ビジネス利用に便利です。郵便は郵便局への持ち込みが基本で、やや手間がかかります。
どちらを選ぶべきか?
スピードや確実性を求める場合はクーリエ一択です。ビジネスシーンや急ぎの配送では、価格以上の価値があります。一方、コスト重視で時間に余裕がある場合は郵便(eパケットやEMS)でも十分に対応可能です。
まとめ
弊社では、お客様のニーズに応じて、郵便とクーリエ両方の選択肢をご提案しております。特に安心・確実・スピーディーな対応が求められつつ、お客様の方でクーリエの対応に慣れていない場合は、弊社のコーポレートレートでクーリエの手配も代行可能です。また、本ブログでは主に郵便とクーリエを比較しましたが、郵便であってもクーリエであっても、お酒や化粧品、医薬品といった輸入規制品の輸送は非常にハードルが高くなりますのでご注意ください。
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