ベトナムは治安も比較的よく、観光地として非常に魅力的な国ですが、初めて訪れる方は注意すべき点がいくつかあります。実際の経験や現地の話を基に、特に気をつけるべきポイントをまとめました。本記事では、弊社の本社があるホーチミン市を中心にご紹介します。ベトナム旅行をより安全で快適なものにするために、ぜひ参考にしてください。
① 空港での注意点
入国審査(イミグレーション)の混雑
タンソンニャット空港というホーチミン市の空港に到着すると、入国審査場へと向かいます。長時間のフライトでお疲れのところ申し訳ないのですが、ベトナムの入国審査は非常に混雑していることが多く、長時間並ぶことがあります。
入国審査時に必要な書類の準備
入国審査では以下の書類を求められることがあります。
- 乗ってきた飛行機の半券
- 帰りの航空券(滞在期間を確認するため)
帰りのチケットを提示できない場合、アライバルビザを取得するよう指示されることがあります。入国審査ではあらかじめ半券と復路の航空券(Eチケット等)を用意しておきましょう。
入国時の注意点(電子タバコ・お酒の持ち込み)
2025年1月からベトナムでは電子タバコの持ち込みが禁止されています。所持していると没収される可能性が高いため、注意しましょう。また、ベトナムへのお酒の持ち込みは2リットルまでと制限されています。免税店で大量に購入しすぎないよう気をつけてください。
安全なタクシーの利用
タンソンニャット空港を出て左側へ進むとタクシー乗り場があります。複数社のタクシー会社が声をかけてきますが、「Vinasun(ビナサン)」のタクシーを利用しましょう。他のタクシー会社は料金が割高な場合が多いですが、Vinasunは比較的安全で信頼できます。ホーチミン市内の1区までのタクシー代は通常300,000VND(約1,200円)程度で収まります。また、空港使用料として10,000VNDがメーター料金に追加で請求されますが、これは正式な料金なので安心してください。
Vinasunタクシー。
白タクに注意
ベトナムの空港を出るとすぐに、白タク(非公式のタクシー)運転手が声をかけてきますが、決して利用しないようにしましょう。法外な料金を請求されることが多く、最悪の場合、強引にお金を奪われるケースも報告されています。実際に、ホーチミン市の中心部(1区)までの移動で、1,500,000VND(約6,000円)を請求された事例もあります。一度乗車してしまうと、支払いを拒否した際にドライバーが力づくで財布を奪おうとすることもあるため、十分な注意が必要です。空港のタクシー乗り場へ向かう途中、「タクシー!タクシー!」としつこく声をかけてくる白タク運転手もいますが、毅然とした態度で無視するのが賢明です。
また、街中でも流しの白タクや個人タクシーには決して乗らないようにしましょう。メーターを使用しないドライバーや、メーターに細工を施し不当に高額な料金を請求するケースも少なくありません。Vinasunタクシーに似せて塗装された白タクも存在するため、乗車の際は車体に「Vinasun」と記載があるかを必ず確認しましょう。安全のため、信頼できるタクシー会社を利用することを強くおすすめします。
Grab(グラブ)の活用
東南アジアで広く利用されている配車アプリGrab(グラブ)のインストールをおすすめします。あらかじめ決まった金額で移動できるため、タクシーのぼったくり被害を防ぐことができます。ただし、Grabのバイクタクシーを利用中に事故に遭った場合、海外でのバイク乗車が危険行為と見なされ、保険が適用されない可能性があります。そのため、ご自身の保険内容を事前にしっかりと確認しておきましょう。
インターネットについて
ベトナムでは、旅行者向けに通信手段が豊富に用意されており、滞在中も安心してインターネットを利用できます。 SIMカードの購入方法としては、最も手軽なのはタンソンニャット国際空港の到着ロビーで購入する方法です。複数の通信キャリア(Viettel、Mobifone、Vinaphone など)のカウンターが並んでおり、英語での対応も比較的スムーズです。到着直後にすぐ通信環境を整えたい方には空港での購入がおすすめです。
一方で、市内のキャリアショップで購入する方法は、空港よりも若干割安なプランが選べる場合があります。ただし、現地語でのやり取りが求められるケースも多いため、多少のコミュニケーション能力が必要になります。価格を抑えたい方や、長期滞在者にはこちらも選択肢として有効です。 最近では、eSIM対応端末をお持ちの方であれば、日本にいるうちからオンラインでeSIMを購入・設定しておく方法もあります。物理SIMの差し替えが不要なため、非常に便利です。
また、カフェやホテル、ショッピングモールなどの施設ではフリーWi-Fiが利用可能ですが、セキュリティ対策には注意が必要です。特に、オンラインバンキングやクレジットカードの情報入力など、重要なやり取りは避けるのが無難です。可能であれば、VPN(仮想プライベートネットワーク)の利用をおすすめします。
② お金に関する注意点
両替時の注意
日本やベトナムの空港で両替をすると、レートが非常に悪いため、5,000円から1万円程度の最低限の金額のみ両替し、ホーチミン市内での両替を検討する方も多いかと思います。しかし、両替所の周辺にはスリやひったくりが多く、両替後に外でお金を数えるのは非常に危険です。必ず両替したその場で金額を確認し、外では決して現金を見せないようにしましょう。私自身、残念ながら、両替後に道端でお金を数えていた女性がバイクに乗ったひったくりに襲われ、お金を奪われただけでなく、転倒してしまう場面を目撃したことがあります。両替所では十分に注意してください。
また、ベトナムの紙幣には 500,000VND と 20,000VND があり、どちらも青色で似ているため、誤って高額紙幣を渡してしまわないよう細心の注意を払いましょう。また、少額の請求に対して高額紙幣で支払いをしようとすると高い確率で受け取ってもらえないため、うまく使い分けるようにしましょう。ちなみに、ホーチミン市にはレートが良いとされている両替所が2か所ありますので、以下に住所のリンクを載せておきます。
チップの支払い
ベトナムには基本的にチップの習慣はありませんが、タクシーやレストラン、ホテルなどで満足のいくサービスを受けた際には、数万ドン程度を渡しても良いでしょう。マッサージ店については、チップが含まれている場合とそうでない場合があるため、事前に確認することをおすすめします。
クレジットカード vs 現金の使い分け
ホーチミンではクレジットカードが使える場面も増えてきましたが、すべての店で使えるわけではありません。高級レストランやホテル、大型ショッピングモールではカード決済が可能ですが、ローカル食堂、市場などは現金払いのところも多くあります。ベトナムドンは桁数が多く、慣れるまでは戸惑うかもしれませんが、小額紙幣(10,000~100,000ドン)を多めに用意しておくと便利です。
ベトナムドンを日本円に換算する方法(2025年5月時)
VNDを1,000で割って6を掛けると、おおよその日本円に換算できます。
- 10,000VND → 約60円
- 50,000VND → 約300円
- 200,000VND → 約1,200円
③ 市内での注意点
街中での詐欺・トラブル
- 街中で声をかけてくるグラブタクシーやバイクには乗らないようにしてください。法外な料金を請求されるケースがあります。
- 靴を磨いてくる人には十分注意が必要です。磨かれた後に法外な料金を請求されることがあるため、声をかけられても相手にせず、毅然とした態度で断りましょう。無視をするのも有効な対策です。私の知人は10分程度の靴磨きで1,200,000VND(約7,200円)を請求されています。(2025年5月23日領事館から注意喚起:当館では、ホーチミン1区内の路上において、邦人出張者が靴磨きを行うベトナム人男性に声を掛けられ、その後、靴磨きの代金を支払う際に、財布内の現金を盗まれるという被害報告を受けました。 当地中心部においては、それら靴磨きを行う者らが半ば強引に靴磨きを始めるケースも見受けられ、時に法外な金額の支払いを求められる場合もあります。観光、出張等で当地中心部を歩かれる際には、それら靴磨きを行う男性からの声掛けには応じることなく、その場を離れて下さい。また、靴磨きを受けた際には、当人らの面前で多額の現金を提示することは避けて下さい。)
- 日本語で話しかけてくる人には警戒しましょう。「ベトナムドンを見せてほしい」と頼み、数えている隙にマジシャンのような手さばきで盗まれる手口があります。
- カジノへの誘いには決して応じないようにしましょう。日本語でフレンドリーに話しかけてきたベトナム人と昼食を共にし、その後、軽い気持ちでついて行った結果、騙されて脅迫されたという事例が報告されています。安易について行くことのないよう、十分に注意してください。
すり・ひったくり対策
街中や人が多い場所では、ひったくりやスリが多発しています。特に以下の点に注意しましょう。
- スマホや財布をむき出しにしない。
- 路地が多い場所では周囲を警戒する。
- 斜め掛けバッグを使用するなど、防犯対策をしっかり行う。
- ナイフでカバンを切られて中身を取られるケースもあるため、大切なものは取られにくい場所に保管する。
ひったくりに遭った場合
バイクによるひったくりが多発しています。追いかけると危険なため、諦めるのが賢明です。過去には、ひったくられた人がバイクに引きずられて大けがをしたケースもあります。
道の渡り方
ベトナムではバイクの交通量が非常に多いですが、焦って急に動かないことが大切です。ゆっくり歩けば、バイクの方がよけてくれることが多いですが、車やバスはその限りではないので注意しましょう。信号を守らないバイクや車も多いため注意です。
飲食
近年、ベトナムの衛生環境は少しずつ改善され、品質の低い飲食店も減ってきています。しかし、小規模な飲食店の中には、水道水をそのまま凍らせた低品質な氷を使用しているところもあるため、お腹が弱い方は氷の摂取を控えるよう注意しましょう。また、年間を通して暑いベトナム南部では、食材が傷んでいることや、稀に腐っている可能性もゼロではありません。料理の匂いに違和感を感じたり、味がおかしいと感じた場合は、無理に食べずに避けるのが賢明です。海鮮料理を楽しむ際は、客の出入りが多く、食材の回転が良い店を選ぶのがポイントです。反対に、あまり人が入っていない店は、鮮度が低い可能性があるため注意しましょう。
デング熱、ヤケド虫
ベトナムではデング熱が流行しており、蚊に刺されることで感染する可能性があります。特に蚊が多い地域へツアーなどで訪れる際は、虫よけスプレーを持参し、刺されないよう十分に注意しましょう。また、一見アリのように見えるヤケド虫(アオバアリガタハネカクシ)にも警戒が必要です。ヤケド虫を見かけても決して触らないようにしてください。万が一潰してしまい、その体液に触れると、やけどを負ったような炎症を引き起こす可能性があります。蚊やヤケド虫は、川や水辺の周辺でよく見られるため、特に注意しましょう。
寺院訪問時のマナー
露出を控えた服装を選びましょう。
-
肩や膝が隠れる服が望ましいです。
-
ノースリーブやショートパンツ、ミニスカートは避けましょう。
- 帽子やサングラスは外しましょう。
- 一部の寺院では建物に入る際に靴を脱ぐ必要があります。
-
宗教施設であるため、派手なデザインや極端にカジュアルな服装は避けた方が良いでしょう。
特に厳格なルールがあるわけではありませんが、敬意を持った服装を心がけることが大切です。もし適した服を持っていない場合、大きな寺院では貸し出し用のスカーフやローブが用意されていることもあります。
ショッピングについて
ホーチミン市には市場や露店、ナイトマーケット、土産物店など、買い物が楽しめるスポットが数多くあります。ただし、日本とは異なる文化やルールもあるため、注意が必要です。
値段交渉(値切り)の文化について
ベンタイン市場など観光客向けのマーケットでは、「値札なし」「言い値方式」での販売が一般的です。このような場では値段交渉(値切り)が当たり前となります。むしろ、提示された価格でそのまま購入すると、相場の2倍〜3倍近く払っていることも少なくありません。コツとしては、まず冷静に「高いな」と感じたら一度立ち去るふりをしてみましょう。店員から「ディスカウントOK」と声をかけられることもあります。また、相場を知るためにも複数の店を回って比較することをおすすめします。最初の提示価格から30〜50%程度下げられることが多いため、気後れせず交渉してみましょう。
ただし、ショッピングモールやスーパーマーケットなどの近代的な施設では値切り交渉は不要です。値札が明示されている場合はその価格が適正とされ、交渉はマナー違反と見なされることもあります。
偽物ブランド商品の販売とリスク
ホーチミン市内では、ブランド品のコピー商品(偽物)を堂々と売っている店が存在します。バッグ、時計、衣料品、靴など、見た目には精巧なものも多く、一見「お得に見える」かもしれません。しかし、これらの偽物を購入・持ち帰る行為には大きなリスクが伴います。まず、日本へ持ち帰る際に税関での没収や、最悪の場合は法的処罰の対象となる可能性があります。また、最近では偽物ブランド品の取り締まりが厳しくなっており、「知らなかった」では済まされないケースも報告されています。特に商用目的で複数個を持ち帰ると、密輸と見なされる恐れもあります。さらに、品質が著しく低いものも多く、すぐに壊れる、色落ちするなどのトラブルもよく聞きます。安さに惹かれても、後で後悔しないよう、正規品を正規のルートで購入することをおすすめします。
カラオケやガールズバーでのトラブル
ホーチミン市内にはカラオケやガールズバーがありますが、料金トラブルが多発しています。数杯のドリンクを飲んだだけで10万円~20万円請求された事例もあるため、入店前に料金システムをしっかり確認し、曖昧な場合は入店を避けるようにしましょう。
④ トラブルに巻き込まれた場合
万が一トラブルに巻き込まれた際は、ホーチミン市にある在ベトナム日本領事館へ速やかに相談してください。また、怪我や病気で病院を受診する必要がある場合、日本の海外旅行保険が適用される医療機関もあります。以下に、日本人も安心して受診できる病院をご紹介します。
PR:弊社は、ホーチミン市に本社を構える日本人経営の貿易商社です。ベトナムで15年以上の取引実績があり、現地でのモノづくりや調達、輸出入に関するサポートを提供しております。ベトナムでのビジネスをご検討の際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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