本日はレジン樹脂工場の視察です。ベトナムには縫製や金属加工だけでなく、ユニークで高付加価値な雑貨を製造する工場も多くあります。今回はその中でも、レジン樹脂を使ったミニチュア模型や雑貨、キーホルダーを専門に製造している工場を訪問しました。高い技術と手先の器用さが求められる分野で、ベトナム人の繊細な作業力が光る現場です。
この写真は拡大していますが、実際はとても小さいです。
レジン樹脂とは?
「レジン」とは英語で「樹脂」を意味する言葉で、さまざまな種類があります。今回視察した工場では、主に「エポキシレジン(熱硬化型)」と「UVレジン(紫外線硬化型)」の2種を使用していました。エポキシレジンは、2種類の液体を混ぜることで化学反応を起こし、熱で硬化します。耐久性に優れ、ツヤ感のある仕上がりが特徴です。UVレジンは、紫外線を当てることで短時間で硬化するタイプ。小ロット生産や細かいディテールの作業に向いています。いずれも透明度が高く、着色やラメ、細かなパーツを封入することで、デザイン性の高い製品が作れます。
手塗とは思えないくらい細かな作業です。
レジン樹脂の主な用途
レジン樹脂はその美しさと加工の自由度から、幅広い分野で活用されています。
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キーホルダーやストラップ:オリジナルキャラクターや動物モチーフ、ミニチュア食品などをレジンでリアルに再現したアイテムが人気です。
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ガチャガチャの景品:小さくてインパクトのあるレジン製フィギュアやアクセサリーは、カプセルトイとの相性も抜群です。
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アニメ・ゲーム関連のグッズ:キャラクターの立体モチーフやロゴ入りアクセサリーなど、ファンアイテムとしても多数採用されています。
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アクセサリー:ピアス、イヤリング、ネックレス、ブローチなど、透明感や立体感を活かした装飾品としても人気です。
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インテリア雑貨:動物のフィギュア、小物入れ、ペーパーウェイトなど、実用性とデザイン性を兼ねた製品も多く存在します。
このように、レジン樹脂は量産型の工業製品とは一線を画した「手作り感」や「精密な仕上がり」が求められるアイテムに多く使われています。
生産方法と工程について
製品はまず、シリコン型で成形されます。これは、原型をもとに柔らかいシリコンで型を取り、そこにレジンを流し込んで硬化させるという工程です。シリコン型を作るための原型は、サンプル職人が一つずつ全て手作業で作ります。硬化後のパーツは、一つひとつ手作業で磨き、塗装されます。製品によっては複数のパーツを組み合わせて完成させるものもあり、特に今回見せていただいたミニチュア食品のような精密な模型は、筆での細かい塗り分けが必要です。実際に現場で見た上記の写真「台湾ラーメン模型」は、直径わずか3cmほどの中に、スープの透明感や牡蠣の質感、麺の一本一本までが精密に再現されていました。このようなクオリティを実現するには、熟練の技術と集中力が欠かせません。
塗り方によって陶器のようにも金属のようにも見せることが出来ます。
手塗だからそれそれ顔が違う、ということでは売り物になりません。
基本ロットと対応力
こちらの工場では、基本ロットは1SKUあたり1,000個〜となっていますが、案件によっては小ロットにも柔軟に対応してくれます。試作品の作成や、ガチャガチャ用のミニチュア、限定イベント用のノベルティなど、少量多品種のニーズにも応えられる点が魅力です。1個あたりのコストの大部分は人件費が占めるため、同じ作業が続けば続くほど作業員の作業効率も上がり、数量が増えるほど単価は抑えることができます。反面、ハンドメイドゆえの丁寧な作りが求められるため、安さだけでなく品質と精度のバランスを重視した製品作りがされています。
リアルな出来栄えです。
こちらの工場の強み
この工場の最大の特徴は、手塗りでの圧倒的な再現力と品質の安定性です。単にリアルに見せるだけではなく、「同じ商品は全て同じ顔」であることが求められます。ハンドメイドであっても製品誤差を最小限に抑え、品質基準を保ち続けていることから、日本をはじめとする海外ブランドからの信頼も厚く、売上の大半が日本向け輸出というのも納得です。実際にこの工場の製品は、ディズニーやユニバーサルといった日本の有名テーマパークやお土産店、ポケモン等のアニメキャラとのコラボグッズとしても採用されており、“世界一手先の器用なベトナム人”の名にふさわしい現場を体感できました。
手のひらサイズのリアルな模型やノベルティ、ガチャガチャの景品など、レジン雑貨の可能性は広がっています。オリジナルグッズの制作を検討されている方、またはベトナム生産に興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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