日本で製品を開発/販売されている企業様から「今後の消費拡大が見込まれるベトナム市場への参入を考えている」とのお話を頂戴する機会が増えました。こちらでは、ベトナム市場への参入方法や拡販について簡単にまとめたいと思います。
販売されたい製品の種類や、販売先(B to BやB to C)よって内容は少し異なりますが、大きく分けると弊社では下記の確認を進めていきます。
① ターゲットや輸入規制、競合他社の調査
② 輸送や配送方法の確認
③ コスト計算
④ 輸入卸企業へのアプローチ(B to B)
⑤ 与信や現金回収リスクの確認
⑥ プロモーション、テスト販売
⑦ 本輸入
⑧ 客先の支払いや在庫の管理
それでは、上記の各項目毎に内容をまとめていきます。
① ターゲットや輸入規制、競合他社の調査
消費市場が伸びているベトナムとは言っても、GDPは日本の16 分の1程度(神奈川県の名目GDP程度の規模)しかないことを考慮しなければなりません。日本では中間層に受け入れられていた製品も、ベトナムでは富裕層へアプローチしなければならないことも多くあります。また、販売したい製品がベトナムに難なく輸入できる製品かどうか、輸入ライセンスや商品登録やその他の申請が必要になるか、輸入関税は掛かるのか、免税処置はあるかどうかなどを調べます。もちろん、競合他社の情報(性能や価格帯や販売方法など)も調査します。
② 輸送や配送手段の確認
日本からベトナムへの輸送方法やベトナム国内の配送手段を検討します。手段は製品の種類や物量によって様々で、パレット積みかバラ積みか、航空便か船便か、常温か要冷蔵か冷凍か、割れ物か、精密機器かなどを考慮し、安心安全かつコスト削減を心がけた物流を考えます。(ベトナムはまだ冷凍物流の分野は非常に遅れています。)
③ コスト計算
①と②の情報をもとに、ベトナムへの到着価格(ランディッドコスト)を計算し、輸入企業や卸業者の利益、予想小売価格などを算出します。
④ 輸入卸企業へのアプローチ(B to B)
製品の輸入や販売に興味のある企業を御社の代わりとなって調査し、必要な場合はその企業へ営業代行を行います。また、弊社が輸入を代行することも可能です。ベトナムの消費市場への参入を目的とする場合、日系企業や日本人に向けた営業だけでは効果は小さいと考えています。現地にいる日本人も減少を続けています。弊社では、なるべくベトナムのローカル企業やベトナム人に向けたアプローチを目指します。
⑤ 与信や現金回収リスクの確認
ベトナムの商習慣では後払いが当たり前で、できるだけ支払い期日を伸ばそうと試みる傾向があります。消費者向け取引(B to C)のように製品の出荷と現金回収が同じタイミング(COD)が理想ですが、企業間取引(B to B)の場合は与信管理が重要となります。弊社では現金回収において過去に痛い経験がありましたので、こちらもご参考にして頂ければと思います。
⑥ プロモーション、テスト販売
コスト計算も終わり、良いビジネスパートナーも見つかると、いよいよ製品の輸入段階に入りますが、初めから大量の製品をベトナムへ送り込むことは推奨しておりません。最初はお試しで小ロットを送り、ベトナム側で問題なく輸入ができるかどうかの確認と、まずはベトナムの税関に輸入実績を付けることが大切になります。まだ曖昧な規則が多く残っているベトナムでは、初回の輸入で思わぬ費用や検査が必要であることがわかった、ということも珍しくありません。また、無事に製品が到着しても予想していたより販売スピードが伸びないといった可能性もあります。このようなリスクを回避するためにも、テスト販売からスタートし、地道なプロモーションを重ねていくことをお勧めしています。ベトナムでのプロモーションの手段については別のブログにまとめたいと思います。
⑦ 本輸入
テスト販売でよい結果を得ることができると、いよいよ本格的な輸入を開始します。すでに輸入実績もあるので安心して輸入でき、プロモーションによってお客様が製品を待ってくれている状態にできていると尚良しです。
⑧ 客先の支払いや在庫の管理
設備のように一台売り切りの場合もあれば、在庫をベトナムに置いて細かく出荷していくなど、製品によって様々なケースがあります。いずれの場合も、お客様からの回収と在庫管理は大変重要な業務となりますが、ご要望に応じて弊社で代行することも可能です。
以上、ベトナム市場への参入の流れについてまとめました。
ベトナムにはまだまだブルーオーシャンが広がっています。日本で成功を納めた製品やビジネスモデルをベトナムに輸入し、少しのアレンジを加えることでベトナムでも焼き直しできるであろうモノやサービスは多々あります。御社のベトナム参入の一助になるよう、弊社も引き続きベトナムから情報を発信いたします。
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