紀土(KID)と平和酒造の世界的な人気とベトナム進出

紀土(KID)と平和酒造の世界的な人気とベトナム進出

kid_sake.jpg

こちらは「紀土(KID)」と書いてキッドと読む、和歌山県海南市にある平和酒造さんが醸す日本酒ブランドです。創業は昭和3年(1928年)、四代にわたって酒造りを続ける老舗ながらも、若き蔵元や杜氏の情熱と革新によって、モダンで洗練された日本酒を次々と世に送り出しています。

 

中でも「紀土 無量山 純米吟醸」は、世界最大級のワイン品評会「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)2020」のSAKE部門で最優秀賞(チャンピオン・サケ)を受賞し、“世界一の日本酒”として国際的な評価を受けました。この快挙は、紀土が日本国内だけでなく、海外でも高く評価されていることの証といえます。

 

また、日本酒愛好家として知られる堀江貴文さん(ホリエモン)が酒蔵を訪問された様子もYouTubeで公開されており、その動画を通じて紀土の酒造りへの真摯な姿勢や、平和酒造さんの熱意を垣間見ることができます。さらに、SAKE TIMEさんの和歌山県日本酒ランキングでも堂々の1位を獲得しており、その名声は今や全国区です。

 

さて、そんな紀土の季節限定酒、『紀土 純米吟醸 夏ノ疾風』が今年も登場しました。さっそくいただいてみたところ、口に含んだ瞬間、マスカットのようなみずみずしく爽やかな香りがふわりと広がり、まさに夏の訪れを告げるような一本でした。日本酒度は+3.5、使用米は五百万石とあって、後味はすっきりとキレがあり、余韻は短め。じめじめとした湿気や蒸し暑さを吹き飛ばしてくれるような軽快さがあり、まさに「夏ノ疾風」という名がぴったりの味わいです。冷やして飲むのはもちろん、スパイシーな料理や塩気のあるつまみとも好相性で、夏の食卓に彩りを添えてくれること間違いなしです。

 

興味深いのは、この紀土がベトナムにも輸入され、人気を博しているということです。ベトナムでは一般的に甘口のお酒が好まれる傾向がありますが、紀土のような中口~やや辛口のお酒が受け入れられているのは、その芳醇な香りと透明感のある味わいが、ベトナム人の感性に合っているからかもしれません。

 

紀土を造る平和酒造さんは、ベトナム・ホーチミン市で大人気のクラフトビールブランド「East West Brewing Co.」とも深い関わりがあります。日本酒の技術を海外にも広げるべく、技術指導という形で日本酒製造のプロジェクトに参画され、ホーチミン市内に日本酒の醸造所が設立されました。

 

そして、そこから誕生したのが日本酒レストラン「Mua Craft Sake」です。ここでは、ベトナム米を使用した現地醸造の日本酒に加え、グアバや桑の実、パッションフルーツなどの南国フルーツを使ったフレーバー日本酒も楽しむことができ、日本酒の新たな可能性を感じさせてくれます。和と東南アジアの融合とでも言えるユニークな挑戦に、訪れるたびに驚きと感動を覚えます。

 

Mua Craft Sake (https://muasake.vn/en/)

 

平和酒造さんは、自社ブランドの拡大にとどまらず、こうした取り組みを通じて日本酒文化そのものを世界に広め、新たな価値を創出されています。その姿勢に、ものづくりに携わる者として深く共感を覚えます。今年の夏も、「夏ノ疾風」を飲みながら、そんな平和酒造さんの挑戦と、紀土が世界で愛される理由に思いを馳せたひとときでした。

 

関連記事はこちら

ベトナムで販売されている日本酒

世界の日本酒の需要とベトナム

日本酒の輸出入に掛かる費用

logo

エコプラント有限会社 

ベトナムでの調達支援や輸出入業務、営業代行など、お気軽にご相談ください。